【コンサルティングのお話】どのような道であれ、極めた人は強く美しい。

query_builder 2023/08/05
カウンセリング
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ちょっと毛色のちがう、少し昔のお話。
わたしにとって、初めてのM&A案件を担当した当時の話。

もうかれこれ、6年以上前になるようだ。

当時、スポンサーが見つかり、さぁこれからというタイミングで、
最も頼りにしていた先輩が会社を辞めてしまい、
後任のプロジェクトリーダーを付けてもらうこともなく、
わたしひとりでその案件を遂行しなければならなくなった…
という大変さもあり(苦笑)

そんな中、さらにお客様企業が、
模倣品販売(商標侵害・著作権侵害)で訴えられるという、
本筋のM&Aとは関係ないオマケのようなトラブルまで発生し、
お客様が相談した民事専門の弁護士では対応が遅々として進まない…
みたいなことも含めて対応せざるを得なくなる…
(当時勤めていた会社の、再生に強い顧問弁護士のお知恵を借りて、
 裏で打合せをさせてもらった内容をその民事専門の弁護士に
 わたしが伝え、その方向に動いてもらえるように誘導していく、
 というような、謎の状況も対応していたのだった。)

しかも直近で資金繰りがショートするというギリギリの場面を
何度も何度も凌ぐという経験をした案件だったのだけれど。


そのとき出会った投資家の方が、本当にすごかった、というお話。

一代で食品販売企業を立ち上げ、拡大し、
個人資産だけでも数百億円というような方だった。

当時のわたしは、しがないベンチャー8年目の事業再生の会社で働いていたので、
普通にしていたら、そんな資産家の経営者に会うこともなかったのだが、
様々な縁をたどって、その方に行きついた。

プロジェクトの都合上、その投資家の方とは、
わたしと、お客様企業の新経営者(投資をしてもらう新会社)の
ふたりきりで会い、交渉をしていかざるを得ないという流れになった。
(今思い出しても恐ろしい状況なのだが、当時から無駄な責任感と、
 好奇心だけは持っていたらしい、わたし。)

そして、この新会社の経営者も、30代後半の若者。
(8年前のわたしは、アラフォーという括りで彼と同じ世代。。)

企業家で投資家のお相手は、ものすごい迫力で、
存在感と目だけで人をコロせるんじゃないかというくらいだった。
(当時のわたし目線で。)

事業計画を何度も何度も提出し、
細かい部分まで、「ここはどうなっとるんじゃ?」と追及され、
彼が経営する六本木の超高級レストランの開店前に打合せを何度したことか…。

さらに、詳細に投資の話しが固まっていく中で、
彼自身が雇っている国際公認会計士が入り、
わたしと仲介の税理士事務所の若手税理士とでつくった数値計画を
舐めるように精査され…

若手新社長も、事業の展望について細かく聞かれる。
この若手新社長、創業家一族の現社長の弟(専務)の子息で、
会社の業績もよかった時代を過ごしてきていたこともあり、
荒波に揉まれることもなかったような、いわゆるボンボンみたいなところも
当初はあったのだけれど。

徐々に鍛えられ、顔つきも、発言も変わっていく…

平行して、金融機関に対しても融資をお願いしにふたりで行っていて、
担当者から「ああでもないこうでもない」言われるのに合わせて、
事業計画も何度も何度も作り直す…

そんな、ひたすら消耗する日々だった。
成約だけを目指して。


それでね、この投資家さんが最後に決断してくれた決め手が何だったか…

若手社長に「本当に(会社の再建・収益化が)できるのか?」と訊き、
若手社長が「やります!(やるしかないでしょ!!)」と答えたのに対して、

「まぁ、お前がやるっていうんなら、お金出してやろう」
ってなったの。

「5年の猶予をやるから、その間に会社を立て直して、
 自分で稼いで会社を買い戻せ」

って。

そのとき、思ったの。
すごく、愛のある言葉だなぁ、って。

会社の業績が悪くなって、一旦は外部に売却しなければならない状況になったとしても、
自分が生まれ育った会社がどれだけ大事なものか、
ちゃんと知っている人の言葉だなぁ、と。

買い戻すことができる可能性すら与えてくれて、
その間、社長として自らその買戻しに充てる資金を稼ぐチャンスすらある。

これが、起業し、会社を拡大させて、資産家になっている人の
姿勢であり、言葉なんだなぁ、と思った。



さて、一方で、
今、またベンチャー的なビジネスに携わっているのだけれど。
その会社の資金調達がけっこう杜撰で…(苦笑)
IT経営とか実のない流行言葉を将来の事業計画に盛り込んでいて、
裏付けの資料なども特につくることなく、
役員間での合意も取り付けていなくて、
「投資家はこういう言葉に魅かれるものなんだ」とか言っているの見聞きしていて、
そういう世界もあるのかな~と思いつつ、
本気でやっている人たちをバカにしているんじゃないかなぁ…
みたいなことをつらつら考えていて、
この過去の経験を思い出したのだった。

投資やM&A、資金調達に関して、数少ない経験かもしれないけれど、
わたしは、わたしが出会った企業家の投資家である彼に出会えて、
数か月間・ほんの数回でしかなかったけれども、交渉の場を与えられて、
本当に良い経験をさせてもらえたなぁ、と改めて思ったのでした。

上っ面だけの、真のない事業計画という情報だけで、
簡単に大きなお金が動くほど、甘くない!!って身をもって知っているから。

そして、人の心を動かし、その結果としてお金や現実を動かすものは、
情報ではなく、誠意と熱意だということを知っているから。

きれいごとではない、真の思いこそが、人をも動かすのだと、
姿勢を通して、教えてくれた人たちに、心から感謝だなぁ、
と思った、そんな思い出話。

どのような道(人生)であれ、極めた人は強いし、美しい。

そのような人たちと「一緒に仕事ができてよかった!」と思ってもらえるような
仕事を提案していきたいし、やっていきたい。
そういうわたしであり続けたい。
そうわたしは思っている。

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7の部屋

住所:東京都豊島区池袋

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